年末調整の結果、「戻りが少ない」と感じた場合
2024-12-30
カテゴリ:税務会計,法人税法,所得税法,税理士
年末調整の時期です、税理士はこの時期はどうしてもバタバタする人も多いのではないでしょうか?
私も例外に漏れずバタバタした年末を過ごしております
今回の年末調整の結果を受け、
還付金が少ない
と感じた方もいるのではないでしょうか?
それではなぜ今年の年末調整の結果の還付金が少ないのでしょう
定額減税(月次減税→年調減税)
これが全てではありませんが、
「定額減税」
が影響を受けている可能性があります
定額減税とはもはや昔の話になってしまった方もおられると思いますので簡単に説明します。
定額減税とは令和6年6月分の給与から本人3万円、扶養1人につき3万円を源泉所得税から控除する制度です。
この令和6年6月から開始した定額減税の中の処理のうち「月次減税」が会社事務にて発動したため、毎月毎月の源泉所得税について上記の上限まで控除せずに年末調整となったのです。
また、年末調整時において還付される金額は毎月毎月の給与から源泉徴収され、過大であった部分が還付されることとなります。
通常計算の方であれば年調減税を行った際に通常の還付額(戻り額)となるのですが、年末調整時に大きな還付額があるような場合(住宅ローン減税を受けている場合)などは事前に源泉徴収された部分が過少であるため、年末調整時の還付額(戻り額)が少なくなるような仕組みになっています。
ただし、これは戻らなかったから損をした訳ではありません
年末調整時に「控除外額」として各自治体に報告がされることとなります
年調減税事務を行った際に控除しきれない定額減税は「控除外額」となり、各自治体からその分が還付される仕組みになっています。
今回の年末調整での還付額が少なかったからと言って損をした訳ではありませんのでご留意ください
最後に
このような事態になるのは税理士目線として定額減税制度が導入された時からわかっていた問題です。
源泉徴収制度自体が国民の徴税感を薄めるための制度であるのに、そこに減税を行うのであれば「減税感」だって薄まるに決まっています。
減税感が薄まっているのにもかかわらず年末調整時の還付の額が少なければ損をした気分になるのは必須かと思います。
どのようなルートを辿れど年末調整にて所得が確定し、正しい所得税額が算出されることとなりますが、年末調整時の還付額の大きさはなんかお得感があってみんな好きなものです
今更ではありますが、やはり定額減税はあまり良い制度ではなく、個人的には給付型が良かった、給付型が難しいのであれば年末調整による年調減税事務のみでよかったのではないでしょうか?
年調減税事務で皆様に3万円+αが還付されるとなれば今頃年末の日本はちょっとだけ明るい気持ちになれたのではないでしょうか?
