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所長ブログ

キャッシュバックやポイント還元についての税務上の取り扱いについて

2024-12-14
カテゴリ:税務会計,法人税法,所得税法,消費税法,税理士
キャッシュレス決済やカード決済が支払い手段として定着しており、現金決済を受け付けないところまで出てきました。
それに伴いキャッシュバック処理も相当数増えてきました。
キャッシュレス決済各社においても熾烈なシェア争いがあるのでしょう。

一消費者としてはキャッシュバックやポイント付与というものは非常に嬉しいものではありますが、今回はこのキャッシュバック・ポイント還元についての税務上の処理について記事にしていきたいと思います。
消費税法上の課税要件について
消費税の課税要件として
・国内において
・事業者が行った
・資産の譲渡、貸付、役務の提供
という要件があります。この要件に一致して、ようやく消費税の課税の対象となります。
逆を言えばこの要件に該当しなければそもそも消費税がかからない取引となります。
【消費税の課税対象要否】
・上記要件に該当する➡課税or非課税の検討
・上記要件に該当しない➡課税対象外(不課税)
となります。
今回は「国内事業者であること」を前提とし、「資産の譲渡、貸付、役務の提供」について検討していきたいと思います。
ご存じのところかも知れませんが、「資産の譲渡、貸付、役務の提供」、についても簡単に説明します。
・資産の譲渡:売った(スーパーで商品を売るようなイメージ)
・貸付:貸した(部屋を貸した、レンタルビデオを貸したというイメージ)
・役務の提供:サービスの提供(マッサージをしてもらったなどをイメージ)
対外のビジネスはこの資産の譲渡、貸付、役務の提供のいずれかに該当することとなっています。

それではキャッシュバック・ポイント還元について上記要件に該当するか否かについて検討していきます。
課税対象外or対価の返還
何かの商品の購入等(資産の譲渡、貸付、役務の提供)に対する還元であれば「対価の返還」となります。
例えばビールを100ケース購入したら1,000円値引きします
のようなイメージです。

会計処理としては「仕入値引又は雑収入」が適切だと思います。
(経費科目のマイナスという考えもありますが、会計原則における総額主義に則り相殺しない方が私の好みです。)。

よくガソリンスタンドなどでポイント分だけ支払代金から値引きされているケースもありますが、厳密にいえば総額計上が正しい処理なのだと思います。
ただ、消費税の計算をした際、本則課税方式を採用しているのであれば実質的に納付税額には影響が出ず、簡易課税方式を採用している場合であっても僅少な額であるので実務上は相殺処理がなされているのが実情だと思います。

逆にその資産の譲渡、貸付、役務の提供のどれにも該当しないキャッシュバック、ポイント還元であればそもそも消費税の課税の対象とならないため「課税対象外」となります。

特定の買い物によらないキャッシュバックやポイント還元がこれに該当します。
特定の買い物に該当するかしないかの線引きは難しいところがありますが、明確に特定の買い物によらないキャッシュバック・ポイント還元については「課税対象外」処理が妥当です。

勘定科目としては「雑収入」が適切だと思います。

また、キャッシュバック・ポイント還元については現金取引によらずにクレジットカードの支払金額に充当されていたりポイントによる還元というケースも非常に多いため経理処理に漏れが生じがちであるところも注意が必要です。