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所長ブログ

定期同額給与の考え方と実務上

2024-12-11
カテゴリ:税務会計,法人税法,税理士
税務の世界にいると役員報酬の「定期同額給与」は聞きなれたものではありますが、一般の方からすればしっくりこないものなのかも知れません。

そこで今回は簡単にではありますがこの定期同額給与について説明していきたいと思います。
定期同額給与とは
定期同額給与とは「毎月同じ金額の役員報酬を支給する」ということです。

通常の従業員であれば残業手当があったり精勤手当があったりするので月々の給料の額に変動があるのが通常です。
また、通常の従業員であれば年に数回の賞与などもあると思います。

一定の要件を満たす会社の役員であればこれらの変動は一切なく、毎月同額の役員報酬を支給しなければならないというのがこの制度です。

なぜこんな制度があるのだろうか?
多分ではありますが、役員であれば自由自在に自分の役員報酬を操作することができます。

「思ったより利益が出そうだ」

というときに役員報酬を操作すれば利益調整が可能であり、また、

「思ったおり利益が出ないから銀行から怒られそうだ」

というときに役員報酬を操作することによりこれもまた利益調整が可能となります。

それでは税務当局としても見過ごすことはできず、この定期同額給与という考え方が出たのだと思います。
定期同額給与によらない部分の金額の取り扱い
定期同額給与によらない部分の役員報酬は損金不算入ということでいわゆる経費になりません。
・増額改定した部分についてはその部分が損金不算入となります。
(例)60万円→100万円に改定、100万円△60万円=40万円×月数分が損金不算入
・減額改定した部分についてはその減額分が損金不算入となります。
(例)60万円→40万円に改定、60万円△40万円=20万円×月数分が損金不算入

なお、やむをえない経営状況の著しい悪化による場合(業績悪化改定事由)による場合には改定が認められますが、これは前回の総会時において到底予見することができない程度に甚大な業績悪化である必要があり、その状況などを議事録に残しておく必要があります。
定期同額給与の期間
役員報酬を改定できる時期については事業年度開始の日から3か月以内となっております。
役員報酬自体が総会決議事項であることを鑑みれば基本的に前決算時に決めたものを直すことができないという考え方です。

また、事前確定届出給与というものがあり、これにより事前に定めた時期に定めた額を支給すれば損金に認められるという制度もありますので、また別の機会に記事にしたいと思います。
定期同額給与によらない法人
同族会社でない法人であれば定期同額給与の縛りがございません。
利益操作みたいなものはやはり同族会社を想定したものだと思います。

・協同組合
・公益法人

その他同族会社に属さない法人もございます。
基本的には中小法人は定期同額給与の縛りがありますが、同族会社が要件というところも覚えていただければと思います。
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